供養・葬儀

猫が亡くなったあとの安置方法|自宅でしてあげられること

猫が亡くなったあと、まず何をすればいいのか。頭が真っ白になってしまう方が、とても多いと思います。

わたしは動物病院で6年ほど受付・診療補助として働いていましたが、2年前に自分の愛犬「チョコ」を自宅で見送ったとき、知識としては知っていたはずのことが、何一つ思い出せませんでした。それくらい、大切な家族を失った直後というのは、頭も心もいっぱいいっぱいになるものだと思います。

この記事では、猫が亡くなったあとの安置方法について、手順を追ってお伝えします。今まさに向き合っている方も、いつかのために知っておきたい方も、どうぞ肩の力を抜いて読んでみてください。

まず、深呼吸をしてください

いちばん最初に伝えたいのは、「今すぐすべてを決めなくていい」ということです。

火葬をどうするか、供養をどうするか。悲しみの中でいきなりたくさんのことを決めるのは、とても苦しい作業です。でも、きちんと安置をしてあげれば、多少の時間の余裕はできます。

まずは深呼吸をして、少しだけ落ち着く時間を持ってください。それから、この記事を参考に、できることから始めてもらえたらと思います。

安置の手順

1. 体を整える

まぶたが開いたままであれば、そっと閉じてあげます。手足も、自然な姿勢に整えてあげましょう。丸くなって眠っているような姿勢にしてあげると、見送るご家族の気持ちも少し落ち着くことがあります。

体に汚れがある場合は、濡らしたタオルでやさしく拭いてあげます。ゴシゴシこする必要はありません。口や鼻のまわりに汚れが出ていることもありますが、そっと拭き取ってあげる程度で十分です。

体の向きを整えるのは、亡くなってからあまり時間が経っていないタイミングがやりやすいです。時間が経つにつれて筋肉がこわばってくることがあるため、気づいたタイミングで無理のない範囲で整えてあげるとよいでしょう。もし体勢がうまく整わなくても、気に病む必要はありません。タオルで包んでしまえば、見た目にはあまり気になりません。

2. タオル・毛布で包む

体の下に、吸水性のあるタオルやペットシーツを敷きます。体液が出ることがあるため、下に敷いておくと安心です。その上から、いつも使っていた毛布やタオルで包んであげてください。

3. 箱に入れる

段ボール箱や、ペット用の棺、大きめの発泡スチロールの箱などを用意します。底に安定するようタオルを敷き、その中に寝かせてあげます。箱のサイズは、体が窮屈にならない程度のものを選ぶとよいでしょう。

4. 保冷剤・ドライアイスを当てる

体が傷みやすいのは、お腹まわりです。保冷剤やドライアイスは、お腹やわきの下、首まわりなど、体温がこもりやすい部分に当ててあげます。市販の保冷剤であれば、複数個を交代で使い、溶けてきたら早めに交換するのがポイントです。

ドライアイスを使う場合は、直接肌に触れさせず、タオル越しに当てるようにしてください。素手で触ると凍傷のような状態になることがあるため、軍手やタオルを使って扱うことをおすすめします。また、密閉された狭い部屋で長時間使うと二酸化炭素がこもることがあるので、時々換気をするようにしてください。

保冷剤だけでも十分な場合が多いですが、気温の高い時期や、少し長めに安置したい場合は、ドライアイスを併用すると安心感が増します。どちらを選ぶにしても、こまめに様子を確認してあげることが大切です。

5. 涼しい部屋に置く

エアコンの効いた涼しい部屋に、箱を置いてあげます。直射日光の当たる場所や、暖房の効いた部屋は避けてください。可能であれば、部屋の温度を低めに保つことをおすすめします。

箱を床に直接置くよりも、風通しのよい台の上に置いてあげると、保冷剤の効果が伝わりやすくなります。家族が集まりやすい部屋の片隅など、みんなでそばにいてあげられる場所を選ぶ方も多いようです。

季節ごとの注意点

夏場

夏は体の状態が変わりやすい季節です。保冷剤やドライアイスはこまめに交換し、涼しい部屋を保つことが大切になります。窓を閉め切ってエアコンを効かせ、直射日光が入らないようにしてください。

冬場

冬場は気温が低いため、比較的状態を保ちやすい季節です。ただし、暖房を使っている部屋では思ったより温度が上がっていることもあるため、安置している箱の近くでは暖房の風向きに注意してあげてください。

窓を少し開けて外気を取り込める場合は、部屋全体をひんやりと保ちやすくなります。それでも、保冷剤は定期的に交換してあげると、より安心です。

安置できる日数の目安

季節や環境によって差はありますが、しっかり保冷をしていれば、1〜2日程度は安置できることが一般的とされています。冬場で気温が低い場合は、もう少し余裕が持てることもあります。

ただし、これはあくまで目安です。ご遺体の状態は個体差もありますので、変化が気になる場合は、無理に長く安置しようとせず、見送り方を決めるタイミングを早めることも大切です。

安置している間に、決めておくこと

安置をしている時間は、悲しみに向き合う時間であると同時に、これからの見送り方を考える時間でもあります。

火葬をどうするか、遺骨をどうするか。選択肢はいくつもあり、それぞれに特徴や費用の目安があります。この点については、後悔しないための見送りの選択肢に詳しくまとめていますので、落ち着いたタイミングで目を通してみてください。

また、実際の火葬の流れや費用について具体的に知りたい方は、ペット火葬の流れと費用相場も参考になると思います。

慌てて決める必要はありません。安置している間に、少しずつ考えを整理していけば大丈夫です。

犬の場合との違い

ここまで猫を中心にお伝えしてきましたが、基本的な安置の考え方は犬でも変わりません。体を整えて、タオルで包んで、保冷して、涼しい部屋に置く。この流れは共通しています。

違いがあるとすれば、体の大きさによって使う箱のサイズや、保冷剤・ドライアイスの量が変わってくることくらいです。大型犬の場合は、お腹まわりだけでなく、体全体を冷やせるように保冷剤を複数用意するとよいでしょう。

してあげてよかったこと

わたしがチョコを見送ったとき、安置している間にしたことがいくつかあります。

その一つが、ヒゲと少しの毛を、はさみで少しだけ切って残しておいたことです。とっさに思いついてやったことでしたが、いまでも小さな袋に入れて、大切に持っています。ふとした瞬間にそれを見ると、チョコの手触りをまだ覚えている気がして、不思議と気持ちが落ち着きます。

写真もたくさん撮りました。眠っているような、穏やかな顔の写真です。撮っているときは正直つらかったのですが、いまとなっては、残しておいて本当によかったと思っています。

好きだったおもちゃを、安置している箱にそっと入れてあげたのも、よかったことの一つです。いつも噛んでボロボロになっていた、小さなぬいぐるみでした。

これらは、あくまでわたしがしたことです。何かをしなければいけない、というわけでは決してありません。ただそばにいて、声をかけてあげるだけでも、きっと十分だと思います。

さいごに

猫が亡くなった直後は、何も考えられなくなるのが自然なことです。まずは深呼吸をして、体を整えて、涼しい場所に安置してあげてください。それだけで、少しの時間の余裕が生まれます。

そのあいだに、見送り方をゆっくり考えていけば大丈夫です。焦らなくて大丈夫です。

体の状態やご遺体の扱いについて不安なことがあれば、かかりつけの動物病院に相談することもできます。ひとりで抱え込まず、頼れるところには頼ってみてください。

よくある質問

夏場は何日くらい安置できますか?
保冷をしっかりして1〜2日が目安とされることが多いです。気温や湿度によって傷みの進み方が変わるため、夏場はなるべく早めに見送り方を決めてあげることをおすすめします。保冷剤やドライアイスをこまめに交換し、涼しい部屋に置くことで、少しでも状態を保ちやすくなります。
ドライアイスはどこで買えますか?
スーパーやネットスーパーの一部、氷店、ホームセンターなどで購入できることがあります。急ぎのときはケーキ店やスーパーの冷凍食品売り場で分けてもらえる場合もあるので、電話で相談してみるのも一つの方法です。取り扱いには素手で触れない、密閉した部屋で長時間使わないなど注意が必要です。
体を動かしてもいいですか?
亡くなった直後であれば、やさしく体勢を整えてあげることは問題ないとされています。ただ時間が経つと体が硬くなってくることがあるため、無理に動かそうとせず、そっとタオルで包んであげる程度にとどめるとよいでしょう。不安な場合は、かかりつけの動物病院に相談してみてください。